母親が泣いた時20220815

父親は 最近twitterで よく見かける

モラ夫 DV夫

子供の頃 皿を投げて割れる音 ちゃぶ台返し

は 日常茶飯事

小学校低学年だったか 長男の俺を立ち会わせ

別れ話

俺が成人しても 暗くなって 母親を 怒鳴り散らすので 漏電ブレーカの大元を落として家を

真っ暗にして俺は 車で家を出た

「おーい コラー」と言う

親父の声を背中で聞きながら

親父の血を引く俺も 切れれば 何を しでかすか

自覚は有るので

帰宅して 親父は いない

又 何ヶ月も帰ってこない

手斧を右手に持ち 母親の頭をかすめて

タンスに打ち込む

刀傷ならぬ手斧傷

土砂降りの外で母親の顔面を 殴り

別棟倉庫に間借りしていた大工さんも

止める事は出来ない

夫婦喧嘩は犬も・・・は その後 仲直りするから 親父は それは絶対無い

どんな時も母親は泣く事はなかった

殺されるだろうと思う場面でも

悲鳴を上げて 父親が急所を外す様に見えた

父親が癌で最初の危篤状態になった時

母親を 向こうの相手が付き添っている病室

に招き入れた

ドアの廊下側で 父親を見るなり

「お父ちゃん」と声を発した

その声に 父親は目を開けた

なん年ぶりだったのだろう

父親は68才だが総入れ歯になっていたので

入れ歯を外した顔は 80才以上か

帰る車中 後部座席の母親は 堪え切れず

嗚咽では無く ワーとひと泣きした

母親が泣いたのを見たのは最初

久しぶりに見た顔が 「お爺さんだった」

と言っていた

母親が90才 かかりつけの病院から

総合病院への紹介状で精密検査連絡

俺が初めて立ち会う

何年も往診し続けたのだろう

総合病院のドクターは

腹部動脈瘤が49mm

50mmが手術の基準らしい

「90才で手術に耐える体力が」

「どうしますか」とドクター

長男で立会いの俺は ただ首を横に振った

診察後 俺が「帰るぞ」と言うと

母親は涙を流して 声を出して嬉し泣きした

説明の看護師が 「大丈夫ですかと」

心配したので 俺が 「大丈夫です」

母親が泣いたのを見たのは

以上2回のみ