父親が型枠大工の親方をしていた 学校が休みになるとアルバイトで
現場に行った 52年前になる 山の中腹の現場 吹上げの風が吹く
休憩時間 大工さんたちが「昨夜 スラブ上のスタイロを飛ばした」と
話をしていた
俺たちの前を 〇大手〇ネコンの若い現場監督さんが通り過ぎた
荷揚げしたばかりなら ロープで縛る
敷いてしまったなら 墨出し天井インサート打ち 鉄筋か型枠の鋼管を重しに並べるとか
それは大損害だし 処分もかさばるし 費用が高いし
拾い集めるのも手間だし スタイロ再搬入が急ぐし
今 考えても 気が重くなる
だが その時の若い監督さんは 肩を落としていなかった
がっかりした様子を感じさせなかった たいしたものだと思った
その光景が妙に 脳裏に焼き付いた