現場監督になろうか1968

 父親が型枠大工の親方をしていた 学校が休みになるとアルバイトで

現場に行った 52年前になる 山の中腹の現場 吹上げの風が吹く

休憩時間 大工さんたちが「昨夜 スラブ上のスタイロを飛ばした」と

話をしていた

俺たちの前を 〇大手〇ネコンの若い現場監督さんが通り過ぎた

荷揚げしたばかりなら ロープで縛る

敷いてしまったなら 墨出し天井インサート打ち 鉄筋か型枠の鋼管を重しに並べるとか

それは大損害だし 処分もかさばるし 費用が高いし

拾い集めるのも手間だし スタイロ再搬入が急ぐし

今 考えても 気が重くなる

だが その時の若い監督さんは 肩を落としていなかった

がっかりした様子を感じさせなかった たいしたものだと思った

その光景が妙に 脳裏に焼き付いた